葬儀・法事

ここでは、金剛寺本末檀信徒向けに、葬儀・法事の流れについて説明します。他宗派には当てはまらない場合がありますので、ご注意ください。

●葬儀に至る流れ
家族が病院やご自宅でお亡くなりになると、遺族はお葬式の準備を始めなくてはなりません。葬儀は、亡き人とのお別れの儀式であると同時に、亡き人を仏さまの国(真言宗では「密厳浄土」といいます)へ無事にお送りするための、大切な儀式です。  一般葬にせよ、家族葬にせよ、喪主のやるべきことはとても多く、大変です。角度を変えて考えると、忙しさで悲しみを紛らわせるためにやるべきことが多いのではないか?と思うほどです。

①はじめに
いざその時になると、何から手をつけたらいいのか、なかなか判断がつかないものです。 まずすべきことは、喪主(葬儀の主催者)の決定と、日程の調整です。任意の葬儀社に連絡し、これらを決めねばなりません。特に日程については、必ずお寺に確認してから決めて下さい。お寺・葬家・火葬場の三者の都合を合わせて考える必要があります。また金剛寺三昧堂(右)を葬儀会場として使いたい場合は、この段階で、葬儀社とお寺にその旨を告げて下さい。六曜の「友引」に火葬場が休みであることから、友引の日は葬儀ができないことに注意が必要です。

     金剛寺三昧堂

 遠隔地で亡くなられた場合も同様で、まずはとにかく連絡してください。金剛寺に相談なく遠隔地で葬儀を行い、葬儀業者に紹介された僧に戒名を授かりますと、後日面倒が生じる可能性(納骨できないなど)がありますので、注意が必要です。 ご遺族の数だけ事情があります。さまざまな心配ごとがあるでしょう。金剛寺には、なるべく皆が納得できるための経験と知識があります。話し合うことは大切です。「火葬して落ち着いてから連絡しよう」などと独自に判断せず、まずは連絡してください。

②枕経やおつかい
 電話などの方法で①の段階が済み、おおよその日程が決まりましたら、次は、以下の二種類のうちいずれかの方法をもって、葬儀の細部について決めていきます。

・僧侶が、ご遺体の安置されている場所(自宅や葬儀ホールや金剛寺三昧堂)に赴き、枕経をとなえる。枕経は、文字通り枕もとでお経をとなえるので枕経といい、故人の死を悼むと同時に、故人に葬儀までの心身の準備を教示するために行なう。この際によく話し合い、葬儀の細部について決める。

・葬家のご近所もしくは親戚から二名を選び、「おつかい」として金剛寺を訪ね、葬儀の細部や、お通夜の有無などについて決める。喪主は動かない。

以上の二種類は、伝統的に、市内の檀家さんが前者のやり方、郡部の檀家さんが後者のやり方を選ぶことが、それぞれ多くなっています。いずれにせよ、お戒名やお布施など、実際に会ってお話を詰めていきます。遠距離の場合(例:東京で葬儀・火葬する)はこの限りではありませんので、電話でご相談ください。それぞれのご都合に合わせて対応します。
またご自宅に故人を安置される場合、枕飾りを揃えたり、仏壇や神棚を忌中の仕様にあらためたりする場合があります。疑問があれば、それぞれの意義について直接尋ねてもらえばと思います。

③お通夜
 通夜は、むかし寝ずに夜通し弔ったことに由来します。亡き人の遺徳を偲び、翌日に成仏してもらうため、さまざまな準備をします。お通夜のお焼香は、亡き人の人生に「おつかれさまでした」「頑張ったね」などの慰労の気持ちでのぞむとよいでしょう。「そんなに簡単に気持ちが整わない、切りかえられない」という方もおられるでしょう。そのような場合は、かたちだけでも大丈夫です。通夜式のあと、「通夜ぶるまい」とよばれる食事を用意するのが一般的ですが、コロナ流行を境に変わりつつあるようです。

 郡部の檀家さんは、通夜に僧を呼ばず、近隣の方による「うたよみ」をもって通夜の代わりとしてきた伝統があります。ただし近年は「うたよみ」をする地域も減少傾向にあり、特に自宅ではなく葬祭ホールで行う場合は、通夜から僧を招く例も出てきています。

④葬儀~火葬
 葬儀は、亡き人に成仏してもらい、密厳浄土にお送りする重要な儀式です。お送りするわけですので、お焼香の際には背中を押すような気持ちでのぞむといいでしょう。葬儀が終わると、親しい人たちで棺を閉じ、故人を霊柩車に乗せ、火葬場に移動します。火葬場の炉の前において、お見送りをして、お別れとなります。

火葬が終わると集骨し、ご遺骨を自宅に連れ帰り、通常四十九日まで安置します。安置している期間に、食事を上げ下げしながら、それまで話し足りなかったことなど、しっかり気持ちを伝えておきましょう。

●法事の流れ

①初七日
 御命日を1日目と数えて7日目に、初七日(しょなのか)という法要を行う場合があります。ご自宅が市街地にあり、その自宅にご遺骨を安置している場合は、僧がご自宅にうかがって読経いたします。あわせて、納骨の日取りなどを相談します。
 諸事情で、火葬してすぐ金剛寺の納骨堂にご遺骨を預けられた場合、あるいは郡部で「うたよみ」をもって七日ごとの供養をしている地域の場合は、初七日は行いません。このような場合は、納骨の日取りを別途電話か、直接おいでになっての相談となります。
また四十九日までの間に、忘れずに本位牌を作っておいてください。近年は位牌のデザインや色もさまざまです。ご自宅の仏壇の大きさや雰囲気にあったもの、または好みで選びましょう。 四十九日までは喪中または忌中(きちゅう)といい、慎んで過ごすことが求められます。宴席などお酒が入って楽しく騒ぐような場、あるいはカラオケなどは、たとえ仕事上のことでもできるだけ避けましょう。ただし以前から日程が決まっていた婚礼などは、場合によっては挙式可・出席可です。ケースバイケースなので、相談して下さい。

②四十九日法要
 七日ごとの供養の七回目が四十九日法要にあたり、現在では、この日に納骨されることが多くなっています。四十九日は「満中陰」といい、ご自宅でのお別れを終え、いよいよ本格的に旅立つと考えるとよいでしょう。実際には、親族が集まる都合で「四十九日を過ぎない直近の土日」を選ぶことが多いようです。昔から、過ぎるよりは前がよい、といいます。
三十五日で納骨する場合もありますが、これは積雪前の法要を希望するなど、さまざまな都合がある場合の選択肢となっています。
 あらかじめお寺と相談し、法事の場所を自宅かお寺か決めておきましょう。お寺で法要を営む場合は、新しく作られたお位牌を忘れずにご持参ください。お法事にあわせて開眼(魂入れ)いたします。ほかに、お供えや生花をお寺の仏前にそなえる方もいらっしゃいますが、これは決まりが無く随意です。また事情がある方を除き、お墓に挿すお塔婆を、施主さま(代表者は、葬儀が終わると「喪主」ではなく「施主」と呼ばれる)のお名前で準備しておきます。
法要ののち、お墓に移動し、墓前で読経して納骨いたします。これには、あらかじめ石屋さんを手配しておくことをお勧めします。
 この四十九日法要をもって、いわゆる「忌明け」となります。これにて通常の生活に戻り、冠婚葬祭の禁忌は無くなります。以降、制限を受けるのは年賀状のみとなります。

 さて、四十九日法要の当日に納骨できない場合もあります。その理由は、お墓がまだ無かったり、雪の季節であったりとさまざまです。そのような場合は、金剛寺の本堂のうしろにある納骨堂に仮に安置申し上げる方法があります。お墓が完成したり、雪がとけたら、百ヵ日、新盆や彼岸などの節目を選び、納骨されるとよいでしょう。

八葉寺阿弥陀堂(本堂)©田中印刷

③冬木沢詣り(8/1~7)
  古来、会津の人びとには、お盆(8/13~16)の前に冬木沢へ祖霊を迎えにいく習慣があります。これは、お盆に祖霊が自宅やお墓に帰ってくる前に、その中間点である冬木沢にあらかじめ迎えに行くという信仰に支えられています。初めてのお盆をむかえる新仏は帰り道も初めてということで、特に新仏の遺族は、必ず冬木沢へ迎えに行くべきだと伝えられます。3年は迎えに行くべき、いや毎年行くべき、など色々な言い伝えがありますが、とにかく初めてのお盆の場合はお参りしてみてはいかがでしょう。

 冬木沢八葉寺では、故人の遺骨や遺髪あるいは遺物を納めた五輪塔を、分骨のように納めることが可能です。詳しくは八葉寺にリンクの項目をご覧ください。

④新盆(8/12午後)金剛寺三昧堂
 前の年の6月下旬から当年の6月下旬までの1年間に亡くなられた方が、新盆に当たります。この区切りは、「お盆(8/13~16)前に四十九日をむかえてない人の新盆は翌年」という法則に準拠しています。つまり、6月下旬以降にお亡くなりになられた方の新盆は、翌年になるのです。(例:令和元年7月に亡くなられた方の新盆は令和2年8月)金剛寺では、毎年、新盆供養を合同で行っています。事前(7月中)に通知しますので、なるべくご都合をつけて当日お参り下さい。
 以上が初年の法事の流れです。2年目以降は、一周忌・三回忌・七回忌・十三回忌と続いていきます。毎年正月の中旬に「貴家の◯◯様が◯回忌に当たっています」とお知らせを郵送いたしますので、お話し合いのうえ、お法事をお申し込みください。お申し込みは来訪でも電話でもけっこうですが、金剛寺の原則は「申し込み先着順」ですので、特に土日をご希望の場合は、早めのご予定をお勧めいたします。 またお法事とは別に、お寺の年中行事としてのお盆とお彼岸があります。金剛寺本末のそれぞれで行われます。季節の仏事は己を振り返るいい機会です。特に末寺に属していない方は、金剛寺のお盆・春秋の彼岸にお参り下さい。